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気ままな場所

主にオーガスト系のゲームとかのSSや類する小ネタ等を書いていこうと思います

夜明け前より瑠璃色な SS     『思わぬ再会』

このところ本当に暖かくなりました。
自転車で走ってると結構汗をかきますので風邪だけは注意しなければ……




今回はMCネタですので一応伏せます。

夜明け前より瑠璃色な SS 『思わぬ再会』


私は500年という途方もない時間から遂に開放された。
といっても“途方もない”と思うのはターミナルの外から見た人の立場であって時間が全く経たない場所にいた私にとっては何でもないことである。
そして私はそのターミナルの管理をこの時代の技術者に任せ、私自身はアドバイザー兼研究員としてお姉ちゃんと一緒にこの研究所に出入りすることになった。


仕事もある程度慣れてきたある日のお昼休みに食堂でお姉ちゃんとランチを食べながらのこと。
「♪ふ~んふふ~ん♪」
「何だ? ご機嫌だな、シア」
「え? やっぱりそう見える?」
「鼻歌なんか出てるくらいだし、見え見えだ」
「もっちろんよ! ここのところ仕事が終わったら街を歩いてショッピングをしたり美味しいモノを食べたりするのが楽しくて。まぁ私もやっと年頃の普通の女の子らしい生活ができるということかしら?」
「1200歳のお年頃ってどんなのだ? 仙人じゃあるまいし」
私は頬っぺたを膨らませながら
「んも~~~、うるさいわね~~~。ただ周りが勝手に年月が過ぎただけでしょ? 私は何も変わらないのに……」
「ははは、確かに歳を聞かれるまでは分からんだろうな。もっとも歳を聞いた相手はぶったまげるだろうがな」
「レディーに歳を聞くなんてそれ自体が失礼なことじゃない? それにお姉ちゃんもある意味そうでしょ? って言うかお姉ちゃんの場合は私と違ってリアルで1200年を生きてきたんだし」
「それはそうだ。ま、確かに長かったな」
「お姉ちゃんが言うと妙に真実味があるわね」
「それが現実だから仕方がないだろう?」
「さ、時間ね。お仕事お仕事」
「あ……あぁ……」
ん? なんか……歯切れが悪いわね?


今日も仕事が終わってお姉ちゃんとお家に帰ってきた。
帰ったら早速私は自分の部屋の棚に飾っているフォトフレームに向かって
「ただいま、タツヤ」
500年前に愛するタツヤと一緒に写した写真。でも残念な事にタツヤの姿が写っているのは今やこれだけ。
でも私にはタツヤと一緒に過ごしたあの一週間の思い出という財産がある。
もしかしたらこれから現実世界で数十年生きるうちに段々と色褪せていくかもしれない。でも私の中にあるタツヤという存在は絶対消えないと思う。

「シア、何してるんだ? 食事にするぞ」
「あ……ごめん、お姉ちゃん」
「……タツヤ……か」
「うん。この写真を預かっててくれてありがとう」
「……礼を言われるほどのことはない。……食事の準備はできてるから早く来い」
何だかよくわからない顔をしてお姉ちゃんは部屋を出て行った。
「どうしたんだろう? お姉ちゃん。何かヘンだよね」
考えてみると最初にこの写真を渡されたときもちょっとヘンだったよね。

それからというもの私はコトあるごとにお姉ちゃんを観察してみたのだけれど、どうもタツヤの話をすると何だか歯切れが悪くなることに気付いた。
「これはお姉ちゃん、タツヤのことで何か隠しているわね」


そして……
仕事中ではあるにも拘らず、遂に我慢できなくなった私はお姉ちゃんに
「お姉ちゃん、ちょっと聞きたいことがあるんだけどいいかな?」
「何だ? 突然に」
「お姉ちゃん、私に何か隠してない?」
「……今は仕事中だぞ。仕事に専念しろ」
「それもたぶんタツヤのことでしょ?」
「……」
「お願い、答えて!! お姉ちゃん」
そして、お姉ちゃんは観念したように
「気付いていたか……」
「そりゃ妹だからね。で、何があるの?」
「……今日の仕事が終わったら説明する」
そういってお姉ちゃんは再びコンソールに向かって黙々と作業を再開した。


今日の作業が終わって私は手早く身支度を整えると
「お姉ちゃん……」
「あぁ、分かってる。行こうか」
「……うん」

私達はかつて月人居住区だったところにある礼拝堂にやってきた。
今はもう老朽化しているため使用はされていないが文化財クラスの値打ちのある建物なので現状のままで保管されている。
「どこに行くの?」
「……黙ってついてこい」
私達は建物の物陰に入るとお姉ちゃんは空間に手をかざして
「オープン」
すると目の前の空間が光ってそこに通り道みたいなのができた。お姉ちゃんはその中に入っていく。
「入って来い」
言われて私も中に入る。
「お姉ちゃん、ここは?」
「ロストテクノロジーをここで私がまとめて管理している。ここにあるものはまだ現実世界では開発されていないから表に出すことはできない物ばかりだ」
「こことタツヤに何の関係が?」
「ついてくれば分かる。それから一言言っておくがこれからここで見る光景はもしかしたらお前が望んでいないことかもしれない。それでもいいか? 引き返すなら今のうちだぞ」
「あのね~、ここまで連れてきておいて今更それはないんじゃない? それにタツヤに関係あることだったら私も知りたい。たとえそれがどんなことであったとしても……」
「……わかった。今だから言うが、私は正直お前にこれを見せてもよいのか悩んでいた。お前がタツヤに関してどんなことでも知りたいというのであればそのまま後についてこい」
私はお姉ちゃんについて先に進んでいった。


そして私達はある部屋にたどり着いた。
そこにはこの時代でもまだ考えられないレベルの機械が置かれていた。そして……
脇にあるカプセルらしき物の中には培養液らしき液体に漬されて浮いている物体が……。
よくみると……
「こ……これは、もしかして人間の……脳?」
「そうだ」
私は思わず“はっ”として
「まさか……まさかお姉ちゃん、この脳の主って……」
「あぁ……お前の思ったとおり、これは『朝霧達哉』の脳だ」
「そ……そんな……」
「お前がターミナルに戻って数年後、タツヤは病気で亡くなった。詳しくは聞いていないが、当時の医学レベルでは全く太刀打ちできなかったそうだ」
「そう……だったの……? それでお姉ちゃんはタツヤの最期には立ち会ったの?」
「……あぁ、サヤカから連絡をうけて私も病院に行き、家族と一緒に最期を看取った。タツヤは最後の最後までシアの名前を呼んでいた。お前が渡した懐中時計を握り締めながら……」
「……」
「後から聞いた話だとタツヤはあの時計をシアだと思って本当に大事にしていたそうだ」
そうだ……確かに私はタツヤに懐中時計を渡した。そしてそれはそのまま渡したままだったんだ。だからあの時アサギリ研究員が持ってたんだ。
……タツヤ
私はまるで抜け殻状態のままカプセルの前に立ち竦んでいた。

「それとあとはもう一つの事実をお前が受け入れることができるかどうかだ」
「え? ……もう一つって……どういうこと?」
「アクセス」
お姉ちゃんはコンソールを出すと入力を始めた。
「よし。タツヤ、聞こえるか? タツヤ」
「え?? 何やってるの? お姉ちゃん……」
「タツヤ、目を覚ませ!! シアが来たぞ」
するとちょっと電子音的ではあるが聞き覚えのある声が響いた。
『シ……シンシア……か?』
「え? ホントにタツヤなの?」
「タツヤ、シアの姿が見えるか? 声が聞こえるか?」
私はカプセルに向きなおると
「タツヤ……なの?」
『あぁ、見えるよ……声が聞こえるよ。声も、それからヤマユリの様なその姿もあの時と全然変わらないな。やっと帰ってきたんだね。お帰り……』
その言葉を聞いた瞬間、私はこれが本当にタツヤだと実感した。
「タツヤ……ただ……いま……」
私の脳裏にあの一週間の出来事がよみがえってきた。そして、もう我慢が出来なくなった私はカプセルに飛びついて声を上げて泣いていた
「タツヤ……タツヤ――――!!!」
『シンシアはこの姿が俺だって信じてくれるか?』
「……うん、……それにお姉ちゃんが言うんだから絶対間違いないよ」
『ありがとう。シンシアをこの手で抱きしめられないのが残念だよ』
「ううん……仕方がないよ……でもそれよりまさかタツヤとお話ができるなんて思わなかったから嬉しい……」
『何だかこんな無様な姿を見せることになってしまって本当にすまない。シンシアがターミナルに帰ってからも俺はシンシアのことを片時も忘れた事がなかった。会いたくて仕方がなかった。そして結局何も出来ないまま病気になってしまった自分が情けなくて仕方がなかった。でもフィアッカさんがそんな俺の心を助けてくれた。だから今こうしてシンシアに会えたんだよな』
「そうだよね……お姉ちゃん、ありがとう」
「私は特別何もしておらんよ。こういうことができたのもロストテクノロジーのおかげだし、それより私はタツヤをまるで実験材料みたいにしてしまった。私の方こそ……本当にすまない」
『でもフィアッカさんのおかげで俺はもう一度シンシアに会うことができました。本当にありがとうございます』
「フッ、そう言ってくれれば私もやった甲斐があったというものだな」
「それにしてもお姉ちゃん、タツヤの声とかよく再現できたものだね」
『俺ってこんな声をしてたんですね』
「何でタツヤが不思議がるのよ? 自分の声でしょ?」
「まぁ一口に声といっても本人に聞こえる声と他人が聞く声は違うと言うしな。これでも一応タツヤの喉とかの大きさからいろいろ計算して声を推定して出しているんだが……フッ、やはり電子音だな。とりあえずそれらしい声が出ているとは思うがな」
「うん、目を閉じて聞くと何となくタツヤにそっくり……だと思う」
「微妙な返事だな……」
「それにどうやって脳だけをこうして取り出して持ってくることができたの?」
『あ、それは俺も聞きたいと思っていました』
「ま、その辺は私がその気になればどうとでもなる」
『考えてみれば恐ろしいことだな……』
「褒めていいんだかどうなのだか……」

「お姉ちゃん、今後これから私もここに来てもいい? タツヤとはお話はできるんでしょ?」
「あぁ、お前にもここに来られるように扉を開けるためのアクセス権を与えておく。いつでも来て好きなだけ話をするといい」


それからというもの私は毎日仕事が終わるとまっしぐらにタツヤのところへ来て二人だけでお話をするようになった。
その日の仕事の話や世の中の出来事を始め、どこのケーキが美味しいだとかどこの景色がキレイだとか、あとは他愛もないバカ話から惚気話まで。
『シンシア、毎日すまないな。俺の話し相手になってくれて』
「ううん、だって一人暮らしの彼氏のお家にくるのに何で遠慮しないといけないの? それに……何だか通い妻みたい。うふふ~」

数日後、ふと思いたって私はお姉ちゃんにお願いしてタツヤの生命維持プログラムにある一つのプログラムを追加してもらった。
『それはそうとシンシア、俺のプログラムを何か変更したのか?』
「うん、私もターミナルを出てきたわけだからこれからは毎年一つずつ歳をとっていくんだよね」
『そうだな。時間は流れるからいつかはおばあちゃんになってしまうわけだよな』
「そう。でも……タツヤはこの中でずっと同じまま。まるでターミナルにいたときの私みたいに」
『確かに言われてみればそうとも言えないでもないな。でもそれがどういう関係があるんだ?』
「タツヤも私と同じように歳をとってほしいのよ。そして……私が死んだ時は一緒に死んで欲しいの。もう一人でいるのはイヤなの!!」
『まだちょっと話がよく見えないんだが……』
「……私の我侭かもしれないけどお姉ちゃんに私が死んだら同時にタツヤの生命維持装置が切れるようにしてもらうようにお願いしたの。このことがどういうことか分かる?」
『あぁ、分かったよ。でも俺は……俺はこんな姿になっちまったけどシンシアはそれでもいいのか?』
「もう~~~、これ以上言わせないでよね。どんな姿でもタツヤはタツヤなんだから。ここに来ないと会えないのが残念だけど……じゃないわね。ここに来ればいつでもタツヤに会えるのよね。いつでもお話ができるんだよね。だからこれからこの500年分を取り戻すくらい二人でいっぱいお話しようね」
『あぁ、今度こそ二人の命が尽きるまで一緒にいような』




あとがき……みたいなの
久しぶりにシンシアSSを書いてみましたが、これも手段としては一つの手段なんでしょうか? 果たして二人にとってどんな形が一番幸せになるのやら……。
まぁ二人だけだったらこれを含めて今まで書いたようなのも一つかもですが、他のキャラを(さやかや麻衣他を含めて全員)含めて幸せになれる方法はないものなのかな……? (もちろん時間の流れとかに矛盾が起きてしまうような設定はNGです)



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文字通り思いつくまま気ままにSSを書いているところです。
主としてオーガスト系(といっても種類はかなり限定されていますが)とあとはちょこちょこと気が向いたらなのは系他も書いてたりして。

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ただ、メール等で御一報下さればコチラからも改めて御挨拶に伺わせて頂きます。


E-mail:morn-8.10@ninus.ocn.ne.jp(@は半角で)



『夜明け前より瑠璃色な-Moonlight Cradle-』は2009年2月27日に発売です。