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気ままな場所

主にオーガスト系のゲームとかのSSや類する小ネタ等を書いていこうと思います

FORTUNE ARTERIAL SS 『命、燃え尽きるまで(第3話)』

結婚後は基本的に自宅療養に切り替えることにした。
理由は・・・まぁ、アレのためだ。
さすがに病院でやるわけにはいかないだろう。
もっとも本来なら入院して治療をしなければいけないのは分かっているし医者もそうすることを強く言ってきたのだけれど、俺と瑛里華は正直に理由を話してそれを強く拒否した。
当然ながら医者もそうなると母体がどうだ、体調がどうだとかいろいろ言ってきた。
ま、医者としては当然だろう。
だが、俺もだがそれ以上に瑛里華が強く食い下がった。
「完治すると100%保障できるのであれば言うことを聞くけど、そうじゃないのだからせめて一人の女性としてこの世に生きてきた証が欲しい」と。
さすがにそう言われると医者もグウの音も出なかった。
結局一応できる限り毎日通院するということで自宅療養が認められた。

そのためとりあえず住まいは今まで住んでいたところを引き払い、病院の近くに居を構えることにした。
俺と瑛里華は大学を中退し、俺はこの先生まれてくると信じている我が子の為に出産費用を稼ぐため働くことにし、瑛里華も病院に通う傍らで家事に専念することにした。
そして、そんなに長くないであろう俺達の新婚生活が始まった。

「ただいま~~」
「おかえりなさ~~~い、ご飯にする~?お風呂にする~?それとも~・・・」
何だか甘えた声で言ってきたが、俺はちょっとイタズラ心で瑛里華の言葉が終わる前に
「ご飯!!」
瑛里華は頬っぺたをプクッと膨らませて
「も~~~~~、答えるのが早すぎ。このセリフ、言ってみたかったのよ。それに答えが『ご飯』はないんじゃない?」
「ははは、ゴメン。やり直しする?」
「それじゃ、もう一回外から帰ってきて」
「そこからか?!!」
「シチュエーションは大事なのよ。さ、もう一回外に出て!!」
「はいはい、分かりました」
俺は瑛里華に急かされるように再び外に出て
「ただいま~~~」
するとさっきより更にわざとらしい、いやもとい、甘ったるい声で
「おかえりなさぁ~~~い。ご飯にするぅ~~?お風呂にするぅ~~?それともぉ~~~・・・わ・た・し?」
ま、ここでの答えは決まってるよな。
「もちろん、瑛里華に決まってるだろ?」
と言うと瑛里華は調子に乗って更にもっと甘ったるい声で
「ヤダぁ~~~孝平ったらぁ~~~。でもぉ~~~メインディッシュはぁ~~最後のぉ~~~お・た・の・し・み」
もうそこら中にピンク色のハートマークが無数に飛びまくっているのが目に見える。でもこれが限られた時間においての俺達の幸せなんだな。

「というわけで孝平、今日もお疲れ様」
「うわ!!それにしても今夜もスタミナメニューかよ」
「孝平にはしっかり食べてもらって夜のお仕事も頑張ってもらわないとね」
「体がもたないよ」
「だからそのためのスタミナメニューなんだからね」
「ははは・・・やっぱり頑張らないといけないな・・・」
「・・・イヤなの?」
瑛里華が寂しそうな目をして言う。間違いなく俺を困らせようとしている演技だと分かっているんだけど・・・頼むからそんな目をしないでくれよ・・・。もしかしら瑛里華のこの眼差しって吸血鬼の命令以上の効果があるんじゃないのか?まぁ、なったことないから分からないけど
「いえいえ、俺達二人の夢の実現の為、精一杯頑張らせて頂きます」
「よしよし、じゃ食べましょう」
「いただきま~~す」
何となく以前のように欲望の赴くままにやっていた時が懐かしい・・・。


そんな感じで昼は仕事で夜はアレと頑張っていたわけではあるが
「ん?どうしたんだ?瑛里華。最近ヘンだぞ。食欲も落ちたんじゃないのか?」
「う~~~ん、何か体がだるいのよね。それに毎月くるのもまだこないのよ・・・」
「調子が悪かったら医者へ行った方がいいぞ」
「そうかもね。もうちょっと様子を見てみる」
そんな会話を交わしていたある日
俺は丁度休みだった為、家で二人でテレビを見ていたら
「う・・・、ちょっとゴメン」
突然瑛里華が不調を訴えてトイレに駆け込んだ。
「大丈夫か?瑛里華」
「孝平・・・これって・・・もしかして」
「わからないからとりあえず医者へ行こう」
慌しく支度をして俺達は病院へ行った。

そこで様々な検査を行って
「支倉さん」
「はい」
「おめでとうございます」
「え?」
「間違いなくおめでたですよ」
「本当ですか?ありがとうございます」
この時の瑛里華の笑顔は今まで俺が見た中でも間違いなくベスト3に入る笑顔だった。

「うふふふ。る~~るるらら~~」
家に帰る道中でも瑛里華の顔は終始ほころびっ放し。くるくるとターンをしながら歩いている。
今日は何をやらかしても許してくれそうだ。まぁ、・・・やるつもりは毛頭ないが。
「ご機嫌だな」
「そりゃあもう、当然でしょ」
「瑛里華の念願だったしな」
「うん、でも・・・吸血鬼だった時は赤ちゃんなんて考えもつかなかったわね。もっとも最初から諦めていたというのもあったけど」
「それでも心のどこかに欲しいと思う気持ちはあったんじゃないのか?」
「うん、そうかもね。そう言えば街で子供を抱いているお母さんの姿を知らず知らずのうちに見ていたこともあったし、親子で楽しそうに遊んでいる家族をじっと見てたこともあったっけ」
吸血鬼とは言っても伊織先輩や伽耶さんみたいに100年以上も生きているならある程度は悟れたかもしれないけれど、同じ吸血鬼でも瑛里華はまだ当時17,8歳そこそこだし気持ちは普通の女の子と全く変わらないのだからそういうことに憧れて当然だよな。
「ま、今はもう一つの思い出ね。それにしても・・・遂に私もママになるのね」
瑛里華は自分のお腹をそっと撫でながらまだ見ぬ子に呼びかけた。
「私も頑張るから一緒に頑張ろうね」
「よし!!今夜はお祝いしよう!!今夜は俺が腕を振るうよ」
「わぁ、それは楽しみね」

家に帰ると早速瑛里華は実家に電話をしていた。
「あ、母様 今いい?今日は素敵なお知らせがあるの」
「私ね、赤ちゃんができたのよ!!」
「うん、だからもうすぐ私もママに、母様はおばあちゃんね」
「うふふ、ごめんなさ~い」
「うん、うん ありがとう」
「そうね。大事にそだてるから」
「うん ありがとう。それじゃあね」
伽耶さんが何を言っていたかは分からないが瑛里華があの調子だとたぶん喜んでくれたのだろう。

「さて、瑛里華はこれからが一番の頑張り時だな」
「当然でしょ?この子を産むまでは絶対にくたばってたまるもんですか!!」
実際瑛里華の体は以前に比べて若干弱ってきているのも事実だ。医者も正直出産に耐えられるかどうか分からないと言ってた。
でもこれは瑛里華が自ら選んだ道だ。俺は瑛里華の夫として精一杯瑛里華を支えていかなくていけないと改めて心に誓った。


妊娠のドタバタから幾日か経ち少しずつ瑛里華のお腹も膨らんできた。
「ねぇ孝平、子供の服とかを買いに行かない?」
「今からか?」
「うん。これ以上お腹が大きくなったら外に出ることもできなくなっちゃうしね。それに子供の服を選ぶのって前からやってみたかったの」
瑛里華は目を輝かせて言った。
「そうだな。行ってみるか」

というわけで俺達は近所のショッピングセンターにやってきた。
「あ~~~、遂に私も念願の子供服売り場にデビューだわ」
「もう来る前からウズウズしてたもんな」
「そりゃもう。う~~~ん、どれがいいかな~。あ、これカワイイ。これもいいな~。あ~~これもいいな」
もう瑛里華の顔は幸せ一杯の笑顔である。
昔からだがやっぱり瑛里華には笑顔がよく似合う。全く・・・写真に撮っときゃよかった。

そして、俺は両手一杯に荷物を抱えて
「ぐ・・・、なんか学生時代にも確か似たようなコトをやらされた記憶があるんだが・・・」
瑛里華はコロコロと楽しそうに笑って
「あら、そう?記憶にございません」
「こら・・・」
「こんなコトをしたことも記憶にございません」
と言っていきなり脇腹を突付かれた。
「おわっ!!思いっきり覚えてるじゃんか!!」
「うふふ、お・こ・ら・な・い」
「まったく・・・それにしても親より高い服を着るんだな」
「いいじゃない。あ~~~、待ち遠しいな~~。今日買った服をこの子が着ている姿が眼に浮かぶわ」
「そうだな。俺も楽しみだよ」
「そのためにも絶対元気な子を産まないとね。病気なんかに負けるもんですか!!」
「その意気だ!それでこそかつて突撃副会長の異名をとった瑛里華だよ」
「“突撃”の文字は余計だけどね」


                       最終話に続く





あとがき・・・みたいなの
当初の予定では3話で終わらせようと思っていたんですが、後から思いついた話を色々と追加してみたら予想以上に長くなってしまったのでもう1話分追加することにします。
よって現在のところ全4話になると思います(て言うか余程長い話を追加しない限りは変わらないと思います)




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